看護部長あいさつ
本院は、赤十字病院として、創立当初から地域に根ざした医療に主眼を置き、地域の皆様の命と健康を守り、支えたいという思いで尽力して参りました。特に、このたびの国難とも言える新型コロナウイルス感染症対応では、ダイヤモンドプリンセス号で感染された方を受け入れ、未知のウイルスといわれる中、県内では早い段階からコロナ重点病院となり、地域医療に尽力して参りました。今後も地域の開業医の先生方、在宅関連施設の方々と連携しながら、地域の医療ニーズを踏まえ、貢献できるよう努めて参ります。
看護体制においては看護部理念である「思いやりのある看護」実践をより着実に行うため2020年より「セル看護提供方式(従来ステーションで行っていた記録等の業務を患者さんの“そば”で気配を感じながら行うことで、可能な限り速やかな対応ができる体制)」へ変更しました。認定看護師ならびに特定行為看護師をはじめとする、有資格者を積極的に輩出し、患者さんに適切なタイミングで医療をお届けできるよう体制整備を図っております。これからも地域に必要とされる病院を目指し、職員一丸となって精進して参ります。
看護部理念・基本方針・教育方針
理念
思いやりのある看護を通して患者様との信頼関係を築きます
基本方針
1.責任ある安全な看護を提供します
2.患者さまに可能な限り、自立して生活できるように支援します
3.職業人として事故を振り返り、研鑽に励みます
4.講習事業を通して、地域の人々の健康で安全な生活を支援します
教育方針
1.赤十字の看護職員としての自覚を持ち、その責任と役割を遂行できる能力を育成する
2.看護の専門職業人として臨床看護実践能力を高め、キャリアに応じて指導・支援し、人間愛にもとづいた看護が実践できる能力を育成する
3.医療チームの一員としての役割を認識して、円滑な人間関係を築くことのできる能力を育成する
令和5年度 看護部目標 「患者さんが喜ぶ看護を届けよう! 」
1. 各部署・各委員会・個人における取り組み
・患者さんは古河赤十字病院に何を望んでいるのか?
・患者さんは看護師に何を期待しているのか?
・自分がその患者さんやその家族だったら?
2.働きやすく、働きがいのある職場環境の構築
・5S活動の推進
・メンタルヘルス対策
・看護職種と他職種(看護助手・病棟クラーク含む)とのタスクシフト・シェアの促進
・人材育成・能力開発
・適正な人事労務管理
3.院内連携・院外連携の強化
・多職種との新たな診療チーム等の構築・実践
・他施設との新たな連携体制の構築・実践
当院の看護部について
看護単位 | 7単位 病棟4単位(急性期一般3、地域包括ケア1) 外来3単位(外来、手術室、透析センター) |
看護配置 | 急性期一般入院料1(7対1) 地域包括ケア病棟入院料2(13対1) |
看護方式 | セル看護提供方式® (飯塚病院の商標登録です。) |
勤務体制 | 変則2交代制 |
認定看護師の紹介
「認定看護師」とは、日本看護協会の認定審査に合格し、ある特定分野において熟練した看護技術と知識を有した看護師のことです。
当院には、感染管理認定看護師、糖尿病看護認定看護師、緩和ケア認定看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師、認知症看護認定看護師、摂食嚥下障害看護認定看護師が在籍しており、実践・指導・相談を通して質の高いケアを行います。
感染管理
感染管理認定看護師として、専門的知識と技術を活かして患者様、来院者、職員を感染から守り、安全な病院環境を整えるため、組織横断的に活動しています。
主な活動内容は、定期的なラウンド、職員への感染防止教育、感染症患者発生時の対応、感染対策マニュアル作成等です。感染対策実践チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)、感染リンクスタッフと共に多職種一丸となって感染対策に取り組んでいます。
糖尿病看護
国際糖尿病連合が発表した「Diabetes Atlas 2012 update」によると、日本の成人(20〜79歳)における糖尿病人口は約710万7700人で、2020年には糖尿病の増加は止まらず、1,000 万人を超えると言われています。糖尿病を持ちながら生活する方の、療養行動を継続する大変さや苦労を理解し、その人らしく健やかな生活を継続できるように 生涯続く自己管理や療養生活を支援することが糖尿病看護認定看護師の使命です。
私は糖尿病看護認定看護師として、病棟に勤務し活動しています。院内での主な活動は、入院中の糖尿病患者さまのケアや透析センターでの透析患者さまの足のケア、外来通院中の糖尿病患者さまの療養相談(毎週木・金曜日:午前8:30~午後4:30、第1・3土曜日:午前8:30~午後0:30)、合併症である腎症の進行を予防するための糖尿病透析指導等です。
自分自身の専門的知識や技術を最大限発揮して、患者様の自己管理能力を引き出し、糖尿病とうまく付き合っていくお手伝いをしたいと思っています。外来の療養相談室にて医師の診察とは別に30分以上の時間を設け、個別にお話を伺っております。医師の診察日(木、金、第1・3土曜日に限る)に合わせてご相談を受けることもできますのでご希望の方は担当医にお申し出下さい。
緩和ケア
「緩和ケア認定看護師」の役割は、チーム間の連携をはかりながら窓口となり、患者さまが自分らしく生活していけるよう支えることだと考えております。その為に、患者さまやご家族とたくさん話をして、お互いを理解し合い、必要な情報をお伝えし、相談しながら一緒に考えていくことを大切にしています。
医師、看護師をはじめとする多職種の医療従事者がチームを組み、お互いの専門性を発揮し、緊密に連携しながら治療やケアを行っていきます。チームの中心は「患者さま」「ご家族」です。どうぞ一人で悩まず、まずはご相談ください。
緩和ケア認定看護師相談について
*当院受診中の患者さまやご家族を対象に、主治医と連絡をとりながら、緩和ケア認定看護師相談を、月曜日・水曜日の午前中に、予約制で行っています。
相談の例)
・痛みやだるさ、吐き気、息苦しさ、食欲低下など、お体に辛い症状や、不安や孤独感などの心の辛さの緩和について
・患者さまやご家族が思いを語る場の提供
・療養先の選択に関する相談
・自宅療養に関する相談
皮膚・排泄ケア
皮膚・排泄ケア認定看護師とは、褥瘡(床ずれ)や怪我などの創傷ケアとストーマ(人工肛門)・失禁など排泄に伴って生じる皮膚トラブルに対し、皮膚の健康を回復させるために、専門的な知識や技術を用いて実践していく看護師です。毎週月曜日に褥瘡対策委員のメンバーと共に褥瘡回診を実施し、患者さまの状況に合わせたマットレスやクッションを選択し、褥瘡を予防するための対策を行っております。
排泄に関しては、他人に知られたくないとの思いから、ケアの方法がわからずにお一人で悩んでいる方も大勢いらっしゃると思います。患者さまが快適な生活が送れるよう、医師や多職種と連携し、相談しやすい環境づくりを目指しております。
ストーマ外来について
日時:毎月第3水曜日、第3木曜日
午後2時~午後3時の間
「完全予約制」事前にご予約ください。
対象:当院でストーマ手術を受けられた患者さま、および当院外来通院中の患者さま
1人30分程度のお時間をいただき、個別にゆっくりお話をうかがいながら、ライフスタイルに合わせたセルフケア方法の習得や社会復帰へのお手伝いを行います。
認知症看護
認知症看護認定看護師の役割は、認知症の方の意思を尊重し、安心で安全な療養環境を調整すること、行動心理症状(BPSD)を悪化させる要因・誘因に働きかけ、予防と緩和をすることです。
認知症を持つ患者さまが、安心して安全に治療を受け、穏やかに療養生活が過ごせるよう、院内で勉強会を行い、認知症に関する知識を伝えています。また、週1回、多職種と共に院内ラウンドとカンファレンスを行い、病棟スタッフと情報共有をしながら、症状やケアに関する相談に対応し共に考え、患者さまやそのご家族を支援しています。
摂食嚥下障害看護
摂食嚥下障害看護認定看護師は摂食嚥下障害のある患者さまとご家族さまに、食事に関する支援します。
食事は生命維持に欠かせない行為であると共に、人生の大きな楽しみのひとつと言えます。その楽しみでもある食事を安全に行っていただくために、栄養状態や口腔内環境の確認、食事をとるために起こるリスク予測や予防を行い、「楽しく」「おいしく」食事がとれるように支援いたします。
病棟スタッフと情報共有をおこない、院内NST(栄養サポートチーム)に所属し、多職種で協働し、多くの知識を持ち寄り患者さまの希望に添えるようにします。
特定行為看護師の紹介
特定行為研修を受けた看護師が患者さまの状態を見極めることで、タイムリーな対応が可能になります。また、患者さまやご家族の立場に立ったわかりやすい説明ができ、「治療」と「生活」の両面からの支援の促進に貢献します。
特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる21区分38行為です。医師が作成した手順書に従い、病状の範囲内で看護師が診療の補助を行います。
当院の特定行為看護師
2018年の看護師特定行為研修を修了し、院内での活動を進めてきました。
当初は周囲の理解・協力を得ることが大変でしたが、医師の協力もあり組織内での役割が定着してきました。また、人工呼吸器や補助循環を必要とする重傷者では、医療ニーズが高く状態も変化しやすいです。そのため、各種診療科の医師と協働し、医師が手術や外来等で不在であっても病棟での対応を連携して行っています。また、看護師が特定行為を行うことで適切なタイミングで医療と看護を提供し、少しでも患者さまの利益になるように研鑽を続けていきたいと思います。
2021年9月に術中麻酔管理領域の研修を終了し、2022年9月に20区分37行為の特定行為研修を終了しました。研修終了後は、医師の協力もあり、臨床で様々な経験を積ませていただいております。
全区分で得た知識と技術を活かすことで患者様の様々な状態にタイムリーに対応することができ、重症化の予防や適切な医療の提供に繋がっていると感じています。現在は、専門性を高めるために麻酔科特定看護師として麻酔科医と協働し、麻酔管理業務や術前外来、術後疼痛管理ラウンド、術後麻酔科回診など行っています。その他にも週1回の活動日には、組織を横断的に動き、外来や病棟看護師より相談のあった患者の診察を行い、特定行為を実施しつつ医師へ引き継ぎを行っております。
今後も自己研鑽に励み、麻酔看護の質の向上及び、周術期看護の質の向上を目指し精進してきたいと思います。
私は2022年10月に外科術後病棟管理領域パッケージと脱水症状に対する輸液による補正(計12区分16行為)の特定行為研修を終了しました。外科病棟に所属しており、周手術期の患者さまの術後ドレーン管理、術後疼痛管理、輸液・栄養の管理、PICC挿入などが主な活動です。看護師の視点のみではなく医師の視点からも患者さまを理解するために、医師の回診に同行し情報共有するよう心がけています。また、自部署での周手術期管理のみではなく他病棟への特定行為の支援も行い横断的に活動しています。患者さまの状態を判断してタイムリーに特定行為を実施することで、より質の高い医療・看護が実践できていると日々感じています。患者さまを考える医師の視点、看護師の視点の共有を大切にし、今後も活動していきたいと思います。
現在、内科病棟(4B病棟)勤務中です。特定行為の区分としては、患者様の呼吸を管理ができる行為を中心に取得しております。医師の視点を持ち、看護師がタイムリーに判断・処置を行うことで、息苦しさによる不安がなく入院生活が送れる様に関わりたいと考えています。また、看護師の視点も持ち合わせているので、「息苦しさが少なく生活を送りたい」などの相談も受けます。
呼吸器疾患のせいで趣味や生きがいをあきらめるのではなく、皆様が生活を有意義に送れる様に一緒に考えていきたいと思います。
緩和ケア認定看護師として、当院の緩和ケア対象患者さまやご家族に介入しています。
緩和ケア対象の患者さまは、食欲不振から脱水や低栄養になりやすく、多くのストレスを抱えることで不安にも陥りやすいです。また、症状の進行によっては、妄想や興奮といった意識の変化が生じることもあります。それは患者さまにとって苦痛であり、支えるご家族の苦痛にもつながります。そこで、少しでも力になれる方法として、表に記載した特定行為について研修を終了しました。
特定行為は診療の補助であり、医師が作成した手順者に従い看護師が実施する行為です。患者さまやご家族のそばでお話を聞かせていただける緩和ケア認定看護師だからこそ、患者さまやご家族の意向を確認し、タイムリーな対応が可能になると思っています。
これからも、緩和ケア対象の患者さまやご家族に寄り添い、大切な時間の過ごし方を共に考えたいと思っています。
私は「精神及び神経症状に係る薬剤投与関連」の区分を終了しました。現在、認知症看護を専門として、入院中の患者さまと関わっています。
高齢社会に伴い、ご高齢の患者さまが入院することも多く、認知症の患者さまや、入院後に入院環境の変化や原疾患の影響によって、一時的な混乱・興奮(せん妄)が現れてしまう患者さまと関わる機会も多くあります。せん妄を発症してしまうと、入院生活や治療で苦痛や困難を要する場合もあります。そのため、特定行為として医師の専門的な視点と看護的視点を持ち合わせて、患者さまが安心して治療を受けられるように、せん妄の予防から発症後の対応を行っていけるように努めていきたいと思います。